関節痛

◆ 専 門 外 来

関 節 痛

関節症とは関節に起こる炎症によって起こる痛みの総称です。 外傷によって起こるものから、加齢による退行変性によって起こるもの、自己免疫疾患が原因で関節に 痛みが起こるものと原因は様々です。関節痛が生じると、関節内に関節液が貯留したり、局所に熱感を 感じたりして運動障害を生じます。これらは急性症状で、慢性期になると熱感などは消失し血液の循環が 悪くなるために冷感を感じたり、関節の変形が起こってきます。 関節炎はなるべく早い治療開始が必要です。

■指関節のトラブル

ばね指(弾撥指)

指を曲げてひらく際に、付け根のところで腱が引っ掛かり指が曲がったまま伸びなくなったり、力を入れるとカックンと急に指が伸びたり曲がったりします。 中年以降の女性や1~2歳の幼少児に好発し、手を良く使う職業の成人にも多いトラブルです。

■主な原因
指にある靭帯性髄鞘という腱のトンネルが肥厚したり、指の使い過ぎによる摩擦の影響で腱が太くなり通過障害を起こすために起こります。

手指の変形(へバーデン結節・プシャール結節)

指のこわばりから始まり、痛み、腫脹、熱感を伴います。進行すると指が伸びなくなったり、関節が変形していきます。指の変形がひどいと関節リウマチと間違える方が多くおられるのも特徴です。

■主な原因
へバーデン結節は指先から一番目の関節に起こるもので、ブシャール結節は指先から二番目に起こるものを言います。どちらも女性に多く、使い過ぎや加齢により関節軟骨がすり減っていくこことげ原因です。女性ホルモンの変動で起こるとも言われています。


■手関節のトラブル

橈骨茎状突起部腱鞘炎(ドケルバン病、狭窄性腱鞘炎)

指の使用時の痛みと腫脹、熱感を生じる使いすぎから起こる病気です。

■主な原因
指にある靭帯性髄鞘という腱のトンネルが肥厚したり、指の使い過ぎによる摩擦の影響で腱が太くなり靭帯性髄鞘と指の腱の通過障害を起こすために起こります。ドケルバン病は母指の付け根の痛み、狭窄性腱鞘炎は手関節によく起こります。


■肘関節のトラブル

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)

肘の外側の圧痛やタオルを絞ったり、ドアノブを回したりする肘をひねる動作で痛みが発生します。肘の運動そのものに動きの制限はありません。

■主な原因
スポーツ選手に多くみられる疾患で、名前の通り肘の外側に痛みを生じるものです。特にテニスのバックストロークで肘の靭帯や筋の付着部に衝撃が加わり、 痛みが生じるためテニス肘と呼ばれています。また、仕事などで肘の外側に大きな負担がかかる作業を繰り返すことでもおこります。

上腕骨内側上顆炎(野球肘)

肘の内側の圧痛、ボールを投げる時、ゴルフのスイング時に痛みがあります。肘の運動そのものに動きの制限はありません。

■主な原因
スポーツ中(特に野球やゴルフ)に多くみられる疾患で、肘の内側に痛みが生じるものです。野球では投球動作が多いピッチャーにおおくみられ、ゴルフではスイング時のダフリが原因でおこる方が多くみられます。肘の靭帯や筋の付着部に負担がかかり、痛みが生じます。


■肩関節のトラブル

肩関節周囲炎(五十肩)

肩関節の痛みと動きの制限があり、動かすことで痛みがおこります。ひどくなると痛みが夜間に強くなることが多く、寒冷によっても増悪します。痛みは肩だけでなく腕に放散することがあります。運動制限は「帯を結ぶ動作(結帯動作)」と「髪を結ぶ動作(結髪動作)」の動きがしにくくなります。

■主な原因
多くは肩関を構成している骨、靭帯、筋、内部組織の加齢による退行変性によるものと考えられています。肩関節の動きを良くする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります。

腱板損傷(野球肩)

野球ではボールを投げた時に痛みを生じたり、日常生活では痛くて眠れなかったりします。腱板が損傷していなければ腕を上げることは可能です。しかし上げる時に関節が ジョリジョリという軋轢音を生じることがあります。

■主な原因
腱板は4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋)から構成されています。これらの筋が何らかの原因によって損傷することでおこります。棘上筋の損傷が最も多く、スポーツ時(特に野球の スローイング時)に損傷することが全体の半数を占め、野球肩とも呼ばれています。残りの半数は加齢による変性(特に男性)で痛みが生じます。

石灰沈着性腱板炎

夜間に突然激痛が起こることが多く、激しい痛みで関節を動かすことができなくなります。

■主な原因
40~50歳の女性に多くみられ、肩の腱板にシュウ酸カルシウムか沈着するために痛みが生じるものです。なぜ石灰が沈着するのかは分かっていませんが、レントゲンを撮ってみると、白いもやもやが写ります。

肩峰下インピンジメント症候群

腕を上げた時の痛みや引っ掛かり感があり、患部が腫れることもあります。症状が強くなると動かさなくても痛む(安静時痛)ようになります。

■主な原因
インピンジメントとは、衝突するという意味があります。腕を上げようとすると骨と骨、骨と筋肉がぶつかって痛みが発生します。主な原因としては、上腕骨と肩峰の間が狭くなり、肩(腕)を上げる時に上腕骨と肩峰の間に腱板(筋肉)が挟まって痛みが生じます。


■股関節のトラブル

股関節炎

歩いたり、階段を登ったりするときに股関節が痛む、痛いほうの脚に体重をかけると痛む、動かすとゴリゴリと音がするなどの症状がみられます。日常生活で、できていたような立つ、歩くなどの動きがしにくくなります。

■主な原因
外傷によるもの、姿勢の悪さや体重の増加によって股関節に過度な負担がかっかたもの、運動や仕事など使い過ぎ(走り過ぎ・歩きすぎ)のもの、病気からくるもの(関節リウマチや変形性股関節炎)など様々です。

先天性股関節脱臼

出生前に原因があるものであれば、出生後に気がつくことが多くそのまま治療に入ります。知らずに年齢を重ねると、歩行の発達が遅れたり、歩行開始時には正 常に動かず引きずるように歩いたりします。(跛行)また、股関節を外に広げるのが困難であったり、クリック音がすることもあります。

■主な原因
出生後または生後数か月の間に大腿骨の骨頭が受け皿である寛骨臼から脱臼した状態で、要因は出生前に原因がある場合と、出生後に原因がある場合とに分けられます。 出生前では、骨盤位、子宮筋腫があった場合、羊水が少量であったために胎児の不良肢位であった場合などが考えられます。また遺伝でもともとの寛骨臼が浅かったり、関節が 緩いことも原因になります。出生後では、窮屈なおむつをし続けたり、場合によっては抱き方によっても脱臼をしてしまうことがあります。

変形性股関節症

歩行、立つ、座る、寝返り時に痛みが生じます。痛みが強いと患部の足を引きずるように歩くようにもなります。

■主な原因
股関節の軟骨がつぶれてしまったり、関節同士の摩擦によって関節が破壊されたりして痛みが生じます。加齢(骨粗粗鬆症)によって関節が退行変性してしまい起こる場合と、先天性股関節脱臼のように原疾患が明らかなものとがあります。


■仙腸関節のトラブル

仙腸関節症

仙腸関節が歪むことで体全体のバランスが悪くなり、様々な症状を引き起こします。歪みからくる腰痛、肩こり、頭痛、骨盤内にある子宮などの変化(生理不順や強い生理痛)を引き起こします。

■主な原因
骨盤(仙腸関節の異常)の歪みによる腰痛のことで、若い女性に多くみられます。事故や長年のスポーツの影響や悪い姿勢に気がつかず長年過ごしたりすることで起こります。また、出産によるものや、股関節の変形や扁平足が原因で仙腸関節の歪みが起こることがあります。


■膝関節のトラブル

変形膝関節症

歩き始め、椅子から立ち上がるなどの動き始めに痛みを生じることが多いです。膝の内側に痛みを感じることが多く、進行すると関節が変形して腫脹したり関節液が膝に溜まっていきます。ひどくなると膝を動かす 大腿四頭筋が萎縮し、膝が曲がったままになっていきます。

■主な原因
老化や肥満などによるもので原因疾患が明らかでない1次性膝関節症と、外傷・先天性・リウマチなど疾患が明らかであ る2次性膝関節症に分けられます。多くは1次性膝関節症が多く、40歳以上の女性に見られます。ホルモ ンバランスの崩れて痛みを発症することもあります。

膝関節水腫

多くは膝の痛みや腫れ、だるさを感じます。膝のお皿(膝蓋骨)をさわるとぷよぷよする感覚があります。

■主な原因
関節内にある関節液が異常に増えてしまうもので、骨と骨同士がぶつかって炎症を起こすために関節液(水)が溜まってしまいます。変形性膝関節症や関節リウマチ、外傷などが原因で起こります。

オスグッドシュラッター病

歩くのも困難になる方も見えれば、運動中だけ痛い、運動後に痛いなど症状を感じるのは様々です。また、 膝の下を押すと痛みを感じたり、膝を曲げると激痛が走ったりします。多くは安静で痛みは軽減しますが 再びスポーツを行うことによって痛みが再発します。

■主な原因

成長期にスポーツをしている子供に多くみられます。骨端線が閉じない10歳から15歳の年齢層に多く、骨軟骨が成長していない段階で激しいスポーツ(特に キックやジャンプが多い競技)を行うと大腿四頭筋が付着する膝の下の部分に負担がかかり、筋肉によって引張ら れ痛みを発症します。

ジャンパー膝

骨端線が閉じた15歳以降から20代のスポーツ多くしている方によく発症します。歩くのも困難になる方も見えれば、運動中だけ痛い、運動後に痛いなど症状を感じるのは様々です。また、 膝の下を押すと痛みを感じたり、膝を曲げると激痛が走ったりします。多くは安静で痛みは軽減しますが 再びスポーツを行うことによって痛みが再発します。

■主な原因

バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作が多いスポーツや、サッカーなどのキック動作が多いスポーツ経験者によくみられ、過度な使い すぎで大腿四頭筋がかたくなり、膝蓋骨と膝蓋骨靭帯の繋がる部分に炎症が起ことが原因です。

半月板損傷

スポーツなどで膝を強く打ち付けたり、強くひねったりした後からズキズキと膝が痛みます。膝の曲げ伸ばしが困難になり、伸ばそうとすると引っ掛かったような感覚があります。また膝関節部が腫れて ふくらんでくることもあります。

■主な原因
半月板は膝に加わる衝撃を一カ所に集中しないように分散させるいわばクッションのような役割をしています。この半月板に急激な動きや無理な体勢によって膝を駆使したり、強く膝を打ち付けたりす ると、吸収できないほどの衝撃がかかり、半月板が欠けたり、断裂してしまいます。主にバスケットやバレーボールなどのスポーツ選手に多く、その他加齢によって負荷が蓄積し、すり切れてしまうことも あります。


■足関節のトラブル

捻挫後の痛み

足関節がズキズキトと痛みます。また腫れて熱感を伴ったり、靭帯が損傷している場合には関節内に 血がたまり、足関節を動かすと痛みます。

■主な原因
階段の昇降時にひねったり、高いヒールを履いて歩いてひねったり、スポーツ中にひねったり、原因は様々です。足関節まわりの筋や骨、靱帯が外力によって正常な可動域を超えてしまい損傷が起こります。 その後適切な処置(冷やしたり、圧迫したり)をしないと足関節に炎症が残り痛みが生じます。内側にひねってしまうことが多いです。また、痛みが長く続くと捻挫ではなく骨折や靭帯を損傷している場合もあるので注意して下さい。


■趾関節のトラブル

外反拇指

親指が変形しそれに伴い痛みも生じます。腫れて発赤も起こります。またそのままヒールを履き続けると 変形した部分が靴との摩擦でタコ(胼胝)ができます。 痛みによってかばうような歩きを続けると膝痛や腰痛、肩こりなどその他体の部分に影響をもたらします。

■主な原因
先のとがった靴によって足の先端が左右から圧迫され変形が起こります。親指が小指の方曲がり、親指 の付け根が内側に突出してきます。圧倒的に女性に多く、足の筋(内在筋)が弱くなることで症状が起こります。





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