◆ 専 門 外 来
腰 痛
腰痛は、人類が二足歩行をするようになったことで、主要な愁訴のひとつとなったと言えます。実に9割近くの人が一生のうちに腰痛を経験すると言われています。当院に来院される患者さんの中でも、主訴以外の腰痛を含めると85%以上の方が腰痛 を訴えられます。腰痛の原因は様々ですが、骨や筋肉だけでなく、腎臓や子宮などの内臓の異常からおこるものもあります。当院に来院される 腰痛に関係する疾患は大変多く、腰椎椎間板ヘルニア、筋・筋膜性腰痛症、椎間関節性腰痛、椎間板性腰痛、腰椎分離症、腰椎分離すべり症、変形性脊椎症(圧迫骨折)、腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群、内臓疾患(急性腎盂腎 炎・前立腺癌・結石・婦人科疾患)、心因性腰痛などがあります。
腰部椎間板ヘルニア
仕事、運動、加齢などの原因で椎間板が変性し膨張や脱出により、脊髄神経を圧迫することで刺激され、腰痛や下肢への痛みや痺れなどがおこります。稀に歩行困難をきたすこ ともあります。椎間板ヘルニアには、A)脱出型と、B)膨張型の二つのタイプがあります。A)脱出型タイプ
椎間板(繊維輪)に亀裂が生じ、そこから内部の髄核が繊維輪を突き破り脱出し神経根を圧迫する。
B)膨張型(膨隆型)タイプ
椎間板(繊維輪)に著名な亀裂は生じない為、髄核が繊維輪から脱出せず、髄核と繊維輪が一緒に膨張し神経根を圧迫する。
■主な原因
仕事などによる腰部への過剰な負担 ・過激な運動による腰部への悪刺激 ・悪姿勢による骨格筋の緊張 ・悪姿勢による脊柱や骨盤の変位 ・椎間円板の老化現象 ・椎骨の老化現象 ・運動不足による筋力低下 ・中腰姿勢で重い荷物を持ち上げるなどする腰部に対する負担など。
■主な症状
下肢の痛み(放散痛)、下肢のしびれ、下肢の筋力低下、知覚障害(障害された神経の支配領域に)、腰痛や股関節痛(上位腰椎椎間板ヘルニアの場合)、歩行困難、排尿障害、便秘や下痢、 ※無症状の場合もある。
腰部脊柱管狭窄症
高齢の女性方に多くみられ、腰部の脊柱管が骨の変形や軟部組織変性などが原因となって狭小化し、馬尾神経や神経根が圧迫されることによって発症する。この病気では多くの方に神経性間欠跛行がみられ、末梢神経障害と動作時に付加される血流障害の相乗によって発現する症状である。■主な原因
腰椎の老化現象(骨粗鬆症)、運動不足による筋力低下、中腰姿勢や重い荷物を持ち上げるなど腰部への負担が原因で、脊椎の変形(骨棘)、椎体のすべり、椎間板の膨隆や突出、靭帯の肥厚などにより脊髄神経が圧迫されます。
■主な症状
腰痛、腰が重い、下肢の痛み(放散痛)、下肢のしびれ、間欠跛行、下肢の筋力低下、知覚障害など
当院では・・・
当院では、主に椎間板や椎骨(背骨)への圧迫の軽減や除去を目的に推拿療法をおこないます。ひとり一人の症状(病態)に合わせたさまざまな推拿手法を用い、筋肉の緊張や骨格(姿勢)を正常にしていくことで、 症状の軽減や根本的な改善を目指します。 また、下肢への痛み、放散痛、痺れなどの神経症状が強い場合には、針灸治療の特徴でもある鎮痛効果を最大限に生かした治療を併用する場合があります。※鍼灸鎮痛の機序
1.βエンドルフィン…針刺激が内因性モルヒネ様物質を遊離させ痛みを抑制する。
2.ゲートコントロール説…針刺激が脊髄において痛みを抑制する。
3.消炎作用…鍼灸刺激が白血球を増加させ、生体防御能力を促進させる作用。
4.痛覚閾値の上昇…針刺激による特定領域の鎮痛効果。